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VFR 800〜クラッチOH

走行距離39,615km 2011.04.30
我がVFR800は、2004年5月生まれ(満7歳)、古くなってきたので、クラッチホース交換、クラッチのOH、リア足回り整備をすることにした。


構成
1、注意点
2、クラッチのメカニズム
3、新品部品の確認
4、クラッチ取外し
5、クラッチ取付
7、作業を終えて


1、注意点
・クラッチ液交換時には、ブレーキオイルに塵が入らないように。 ブレーキオイルは塗装を痛めます。 養生を怠らない事。
・エアー抜きを完全にし、走行前に利き具合を確認する。
・クランクケースに付いているねじを外す時は、外側から対角線上に2回から3回に分けて緩める。 締める時は中心から対角線上に2回から3回に分けて締めていく。
・エンジン内部にゴミが入らないようにする。
・クラッチスプリングを組み時は、スプリングに余り負荷を掛けないようにする為、クラッチプレートを押しこんでから、クラッチスプリングの固定ボルトを締めこむ。

2、クラッチのメカニズム 等
クラッチは、エンジンから発生する駆動力をクランクシャフトからトランスミッションに断続的に伝える。
VFR800のクラッチは湿式で、エンジンオイルによって冷却している。
ジャダーとは、ギアチェンジにクラッチがスムースにつながらない事を云い、クラッチ操作を行おうとすると振動が発生するそうです。
原因は、クラッチアウターとクラッチセンタの「かんごう」部に段差があると発生する。この場合、程度が軽い時は鑢で研磨して段差をなくす。


2、新品部品の確認
<計 測>

写真左:クラッチアウターガイドです。Newのクラッチアウターを内側マイクロメーターで計測、結果は25.00mm、古い方も25.00mmであった。
    使用限界は、25.08mm。

写真中:クラッチディスクも計測、Newは、3.0mm、古い方は2.90〜2.95mmであった。 使用限度は、2.5mm以下で交換だ。
    標準は、SMによると、2.92から3.08mm

写真右:クラッチスプリングです。Newは、46.9mmあった、使用限度は44.9mm以下。 標準は、45.8mm。


<観 察>

写真左:クラッチセンターロックナットです。 サイズ30mm、でか! 右側にある古いナットはC4用(27mm)です。VFR800の方が一回り大きい。

写真右:クラッチセンターロックナット用のロックワッシャです。 断面が凸になっていて、凸側にOUTの表示があります。この面が表側になります。






写真左:写真の左が一番外側に位置するクラッチディスクB、右がクラッチプレートとサンドイッチされるクラッチディスクB、サービスマニュアルでは同じ名前ですが部品番号は異なります。
    良く見ると、ディスクにくっついている長方形のざらっとした部分の大きさが違います。

写真中:クラッチプレートです。 表面は小さなへこみが沢山あります。 良く見ると、プレートには表と裏が有ります。

写真右:古い方のクラッチプレートは、表面に擦れた跡とスラッジが付いていました。
    良く見ると中心側に円周上に擦れた跡と擦れていない部分の境目が見えます。 ディスクとプレートが擦れて減ってる証です。    管理人はクラッチのつなぎ方を知らなかった時期が結構あった、また、シフトダウン時にエンジンブレーキを使う方でしたが、結構綺麗な物でした。

面取りはめんどい

超暇人向けメニューです。クラッチディスクは、プレス貫されています。なので、刃物で切れるような面が自然に出来ます。
おもうけど、少しでも、ディスクの動きを滑らかにするには、面取りしかないと思ったわけですね〜。
6枚も面取りをしなければなりません。 ベイビー頼むぜって感じです。
写真左:作業に使った鑢です。 ホームセンターで売っていたダイヤモンドや鑢と精密鑢です。 仕上げ用には精密鑢を使いました。

写真右:合成写真の左がビフォアー、右がアフター、面が取れているでしょう。 結構、手間がかかりますが、そこは楽しい趣味ってことで、しこしこと(^_^;)


3、クラッチ取外し


写真左:先ずはクランクパルスジェネレータの2Pカプラ(赤)を外します。

写真右:クランクケースを外すと中はこんな感じ。
    オイルポンプドリブンスプロケット固定ねじが曲者で、ねじロック剤が使われていますので、メガネで外した方が無難です。
    ところが、メガネレンチはクラッチアウターの歯車とのクリアランスが無くてはいりません。
    なので、クラッチアウターを外してからメガネを入れ、反力を取る為に、再度クラッチアウターをはめ込む必要が有ります。 つまりめんどい(笑)
    古いガスケット剥がしは大変でした。 最後はオイルストーンで磨いてやると最後までこびり付いていたガスケットが綺麗になります。


写真左:古いクランクパルスジェネレータを見ると、鉄粉が付いていました。 新品に交換しておきました。

写真中:リフタロッドもクラッチリフタとの接点が擦れていました。 クラッチリフタと一緒に交換です。

写真右:ジャダスプリングです。 反りの方向を覚えておきましょう。
    スラッジが付いて表面が汚れていますね〜(苦笑) 組立前に十分な洗浄を


写真左:クランクパルスジェネレータローターです。 大き目の切りかきを合わせるようになっています。 これなら間違えませんね。
    この固定ねじですが、鬼の様な硬さでした。 結局、エアーインパクトで外しました。

写真中:ワンウエイクラッチを外す時、クラッチアウターを抑えに使ってある細い針金をペンチで抑えながら外さないとクラッチアウターを抜けませんでした。
    危ないので、養生をしましょう。

写真右:ワンウエイクラッチをはめ込もうとしましたが、なかなか入りませんでした。 無理は禁物なので、入りやすいように、面取りをしました。




写真左:クラッチアウタガイドです。 内径は新品と変わりありませんでしたが、外側を見ると擦れていたので、ベアリングと一緒に交換しておきました。

写真中:カラーも擦れていました。 交換しておきました。

写真右:外したクラッチアウターとクラッチセンターです。 一部に段付きが見られましたので、軽く鑢等で均しておきました。
    走行距離約4万kmだとこの状態です。 今の倍走ったら交換かもしれません。


写真左:オイルポンプドリブンスプロケです。 若干ですが、山が変形していたので、この際、交換しておきました。

写真右:スタータモータの軸にある歯車です。今のところ変形は無い感じです。
 よく古いバイクのスタータモータOHの記事を見かけますが、私的には今の倍ほど走ったらAssyで交換した方がいい感じです。その頃は歯車も結構変形しているのではと感じます。


3、クラッチ取付

写真左:オイルポンプドリブンスプロケ固定ねじを締めつける時、反力を取る為にドライバーを差し込みました。 これもOKでしょうね。

写真中:オイルポンプドライブスプロケとクラッチアウターのはめ込みには注意が必要です。
    スプロケ側には4つの凸が有り、アウターにはめ込みます。 ところがクラッチアウター側からクラッチアウターの凸が見えません。
    はめ込みの目安はアウターとスタータクラッチの歯車の面が面一になることです!

写真右:クラッチセンターロックナットを締めつけ力は、127NMです。 6速に入れフットブレーキを踏んでも空回りを起こします。
    SST登場です! ストレートで売っていました。 入らなかったので、少し削りました。


スタータクラッチボルトの締め付け力は、103Nmです。 これが大変でした。 写真の工具だけでは駄目でした。 考えた末に、6速に入れてフットブレーキをかける技と合体でやっと締めつけられました。(^^ゞ


3、オイルクーラー交換
オイルクーラーも大分弱ってきているようなので、交換することにしました。
で、品を見てびっくり!! 新品なのですが、何故かオイルのインアウトので入り口が茶褐色に変色していました。

写真左:錆びではないようなのですが、サンドブラストで落として、耐熱クリヤーを吹き付けることにしました。
    
写真右:やっと綺麗になりました。 ついでに気になる鋳物特有のでべそを落としてやることにしました。
    サンドブラストを持っていると、メンテの幅が広がりますね!



水周りのホースも交換してやった。
経年変化で幾分か硬化している感じです。 この際交換です。
この他にも点火プラグを交換してから約2万km走行したので、点火プラグも交換です。



4、作業を終えて
 クラッチディスクもプレートも丈夫です。 それよりスプリングのへたりの方が早いのは意外でした。
 我がVFR800も走行距離4万km、後半を思うとあっさりと交換してしまった。


2011.5.3追記
レバーの握る量を多くしないとクラッチが切れなくなった。
クラッチオイルのエアー抜きやホース各所の増し締めをしても駄目です。 泣く泣くクランクケースを開けてみました。

写真左:プレートに歪みが有るものが有るかと思って、隙間を確認しましたが、異常なし。

写真右:次にセンターロックナットを締め直しをしました。
すると、緩める前と同じ位置で本締めとなりました。 つまり締め方にも問題は無かったことになる。

2011.5.5追記
原因がどうやら判って来た? 写真は、新旧の比較で左が古、右が新
古い方は全面が擦れて、丁度、ブレーキディスクプレートの様になっていますが、新は、所々が擦れています。

つまり、反クラッチ状態が深くなるメカニズムは、新は当たりが前面にわたっていないので、プレートとディスクの密着が悪くなって、発生するのではないかと思う。
というのも走り込むに従って、状況が好転しているからです。
サービスマニュアルによると、クラッチプレートに歪みがあると、私の様な事になるとあります。 今回は、この状態に近かったのではと思います。


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