VFR 800〜フォークOH

【バイク部屋へ】
VFR 800〜フォーク完全OH
走行距離43,500km 2011. 9.28

 VFR800購入後、最初にフォークをOHしたのが、走行距離20,110km。 2度目のフォークOHは、23.4千Km走ったことになります。
 状態ですが、アウターチューブは塗装が劣化しぼろぼろです。 ここまで、全くといっていいほどワックスがけをしませんでした。
 過酷な環境ということもありますが、こういったことも塗装劣化の原因でもあるようです(苦笑)

 今回は、主として組み立てを掲載します。というのも、バランスの良い組み立てをしないと歪んでしまうからです。



構成
1、注意点
2、アウターチューブ全塗装
3、禁断の域
4、組立
5、油面調整
6、作業を終えて


1、注意点
 フロントを上げる前に、ねじはみんな緩めておくこと。 フォークボルトはソケットの掛かりが少ないので慎重に緩める。
 SMは、良く見ること。



2、アウターチューブ全塗装
 走行距離の少なさそうな上物が有ったので、再塗装して使うことにしました。
 写真は古い塗装を落とし終えたところです。 ガラスビーズは#120です。
 サンドブラストですべて落としましたが、作業性を考慮して、粗方を耐水ペーパーで磨いた後にサンドブラストで研磨した方が早いです。
 最初に耐水ペーパーで研磨すると仕上がりが少しつるっとします。使用した耐水ペーパーは、#350。

 古い塗装を落としたら、非鉄金属用のプライマーを使います。経験で、塗装の密着度に大満足です。
 順序は、プライマー〜 サフ(デイトナX04)〜  デジタルシルバー(デイトナD51)〜 ウレタンクリア(呉工業) の順です。







 写真左:塗装は上手くいってピカピカです。 ウレタンを塗ったので、耐久性もアップのはず。
    

  写真中:塗装を終えたフロントフォークに、ベアリングの圧入をします。 素人はねじで圧入が一番です。 。


写真右:ベアリンの側面には、ダストシールを打ちこみます。 管理人は、プラハンで少しずつ叩きこんでいきます。





写真左:ここまで来たら、最後の仕上げは、塗装表面の小さな凹凸を平らにします。 方法は、耐水ペーパー#1500で砥ぎだします。
    表面が、こすれて薄らと白く見えるようになります。 あまりに研磨すると、下地が出ますので、この辺で終わりです。

写真中:ピカールで、最終研磨をします。 ぴかぴかです。こうなると、アウターチューブのまわりを樹脂で覆った状態です。

写真右:研磨を終えて、右アウターチューブの内壁を見ると少し線傷が有りました。(^^ゞ
    割り箸に耐水ペーパーを巻き付けて、線傷を均してみました。若干、傷がなだらかになった感じです。
 磨いた後の仕上げは、ピカールで鏡面にします。 こうしないとストロークも悪くなるだろうし、、、。


アウターチューブ内壁研磨後の写真をやっと取れました。 撮影は、むずかった〜、なんてのんびりしたことも、、、どうなるやら。




3、禁断の域
SMでは、ダンパロッド内のメンテに付いて解説が有りません。 写真は、完全OHを目指して中古のダンパロッドをばらしました時の写真です。

写真左:完全OHをめざして、オイルロックピースを外します。 走行によって食い込んでいて外しずらくなっているので、アルミを傷つけないように抜きます。
    内部に汚れが有りますので洗浄します。
写真右:オイルロックピースを外してダンパをばらすとこのような構成になります。




写真左:オイルロックピースを外すと内側には、フォークダンパの部品が現れます。
    このアルミ製部品を外す為には、赤矢印(Cリング)をピックツールでこじって外します。

写真中:取り出した部品です。 外周にはOリングが有ってダンパシリンダ内壁に沿って流れないようになっていて、赤矢印の様に流れます。 

写真右:先端部をばらしてみたら、12もの部品数になりました。 減衰機構は複雑です。
    減衰の仕組みは、円盤の外側にある小さな穴の中をオイルが流れるようになっています。 しかも、円盤のスプリングがしこんであって、複雑です!

本番時は、ここまではばらさず、ダンパロッドの管内を清掃します。 ねじがかしめれているので、ここまでばらさない方が賢明です。



写真左:ダンパロッドです。 写真中丸部分には穴が開いています。 ばらすと、ここからもオイルが出てきます。常時は、内部にオイルが入ってるようです。

写真中:ダンパロッドのピストンです。 赤矢印に穴があいていて通じています。 細かな作りですね〜! 構成部品数は11個!

写真右:ガイドブッシュとフォークパイプブッシュです。合わせ目だと思いますが、双方とも擦れてテフロンが剥がれてきています。
    走行距離は23,400kmの状態です。 実際どれくらい走れるものか判りませんが、、、、25,000kmが上限でしょうかね〜。 テフロンが取れたら、傷だらけになっちゃうでしょうから早めがいいでしょうね。


4、組立

写真左:オイルシールまわりの部品の関係はこのようになっています。

写真中:オイルシールの内面・側面にリコングリスを塗布し、シールを痛めないように、且つ挿入しやすいようにします。  次に、バックアップリング、ガイドブッシュをセット。これらも、初期馴染みを良くする為にSiグリスを塗布します。

写真右:インナーチューブの下側から、こんな風にオイルシール、リング、ガイドブッシュを入れ込みます。


インナーチューブを組み立てたら、アウターチューブに打ち込みます。
打ち込みには、塩ビ管を使っています。古いシールをセットしたら、ガンガン打ち込みます。 音が変わると、はめ込まれた状態です。

写真左:オイルシールがすべて入ったかどうかは、目視で確認することもできる。
シール上部に位置する、抜け止めサークリップが入る溝が全周で確認できたら、正規の位置までシールが入った証拠だ。

ダンパロッドを組み立てて、インナーチューブに装填しましす。 ↓  ↓

写真右:今回はダンパロッドもばらしたので、写真の青矢印の部分にもSiグリスを薄く塗布し、ダンパロッドに挿入し、ロックピースを取り付けて、 その後、ダンパロッドをインナーチューブに装填します。

ドレンボルトには、ネジロック塗布し、新品のシールワッシャーをドレンボルトと共にチューブに締めこみます。20NMです。
    共回り防止にフォークスプリング等を入れてフォークボルト仮締めし、チューブを押し込んでから、ドレンボルトを締めこみます。


5、油面調整
 フォークオイル量は注入量、又は油面で管理する方法があります。  完全OH以外の場合、各部に僅かずつでもオイルが残っている可能性があるので、量より油面で合わせてやる方が正確だと思います。

 ダンパをアウターチューブに固定したら、オイルを注入します。 ダンパロッド内にオイルを回す為に、ロッドを何度も上下動させ、「ジュコ、ジュコ」 音がしなくなったら、暫くそっとし、気泡が浮くまで待ちます。  油面高は、インナーチューブを沈めきって上端から100mmです。 今回は、完全OHなので、既定の油量を入れて、油面高は確認程度にしました。
    油量は、プラマイ2.5ccなので、油面高はプラマイ2mmです。
 油面調整が済んだら ↓  ↓  ↓



写真左:フォークスプリングをインナーチューブに入れる際には、巻きが密になった側を下に向けて挿入する。
    スプリングのへたり具合を計測するとL=335mmであった、走行距離36,000km 2010.10.9にフォークのオイル交換時から長さわ変わっていませんでした。
    それでも、上物のスプリングが有ったので、交換しました。

写真中:次に、スプリングシート、カラー、カラーストッパ、エンドナットをセットしたら、フォークボルトをダンパロッドに締めこんでいきます。
    細かい話ですが、ダンパロッドのねじ山の残り山数を3山で本締めします。  何故3山かというと、ばらす前に3山だったからです。 ま〜両方同じにしておけばよいでしょうね。

    で、ここで、教わった技をご披露します。ワンマンにはうってつけ。右手の手のひらでスパナの上下を握ってナットを締めこみます。
    以前は、両膝でフォークを挟んでフルパワー、刹那、フォークを倒した苦い経験が有りますです。(苦笑)


写真右:ステムベアリングの給油も行いました。 ステムを交換したのが'09・06・30付け走行距離23,990kmだったので、約2万km走行後です。 アンダー側ベアリングレースの状態は傷なしで、良好でした。


6、組み付け
フォークを車体に仮付けします。 突き出し量は41mmにします。
    割締めボルトを仮り締めしてからゆっくりと微調整します。

写真左:アクスルシャフトがスムーズに通るかどうかを確認する。アクスルシャフトがスムーズに通らない場合、左右のフォークの突き出し量が異なっている場合がある。
    このことは、近所に自転車屋さんに教わりました。
    確認したら、ボトムブリッジ割締めボルトを仮締めし、突き出し量をノギスで41mmに合わせます。
    そしてアンダーブラケットから49NMで本締め、次にトップブラケット割締めボルトを23NMで本締めします。

写真中:Lブレーキキャリパを仮固定します。

写真右:フェンダーを仮固定。 次にサイドカラーを付けたホイールをセット。



写真左:アクスルボルトを本締めし、R割締めボルトを本締めし、右を決める。右ブレーキキャリパを固定。
   
写真右: ここで、アクスルシャフトの切りかき溝(左側)がアウターチューブ側面に一致しているかを確認する。このことは、46Cさんに教えて頂きました。
    そして、フォークを上下動させなじませ、ブレーキのきき具合を確認する。
    最後にL割締めボルトを本締めして、フェンダーを本締め。



5、作業を終えて

写真左:今まで何度かフォークのメンテをやってきましたが、あー、あんなのが有ったらいいなと思っていたのが、写真のお手製治具です。  準備段階の撮影ですが、本番でも役に立ちました。でも、一回、フォークを倒しました〜(泣く)

写真右:ポット用洗浄用の道具です。 200円なりー。ブラシと併用すると良く落ちます。


2011.9.29 試走
我がVFR800は2004年式なので、7年経過したことになります。 今思うと中古のワンオーナー物を購入してから時がたつのも早いものです。
購入して都内からの復路を思い出すと、高速道路のつなぎ目を走る時の滑らかさを思い出します。
で、上物フォークスプリングの試走結果は、一言でいってしまえば、段差を乗り越えた時の角が減ったといった感じです。  スプリングの長さは計測した通りわずか1mmの差ですが、乗り味としては結構違うものです。
まっま、手前味噌になってはいけませんね、オイル交換も影響大と思います。




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