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VFR800 大修理 走行距離23,990km
事故の直後、体が痛かったのですが、愛車も気になっていました。
入院中、今後について迷いましたが、バイクは直せるようでしたら、少しづつでも直してやろうと思っていました。
構 成
現状確認→
修理プラン
Fカウル交換→
グリップ交換→
メインスタンド交換→
Lラジエータ修理→
ステアリングステム交換→
Fタイヤ交換→
その他
現状確認
事故直後、近所のバイクやさんに一度見てもらいました。 その時の話の様子でいけそうででしたので、DIYすることにしました。
退院後、自分でも以下の点について確認しました。
1、フレームの溶接部
近所のバイクやさんも溶接部はどうしても弱いといっていました。 目視とプラハンで叩いて異音も無くOK
2、三又回りの異常
フォークが真直ぐか上から覗いて確認をしました。
目視以外にも、フォークについては、外側から定規を当てて曲がりも確認しました。
ただし、この場合、三又から下側の確認になります
3、シートレール
タンデムグリップが少し削れていたので、シートレールの曲がりを確認しました。
確認方法
@、シートを外し、車両から離れて、シートレールが真直ぐか否かを目視で確認
A、車両センターから下げ振りを下ろし、タイヤのセンターのずれを見ます。
結果は、ずれ無し。
↑ ↑ ↑
後日判ったのですが、ほんの少しでもずれているようでしたら、シートレールが曲がっている可能性が大です。
4、スイングアーム
揺すってガタツキを確認しました。 これで、問題がないようなので、走れると判断しました。
5、試 走
60km〜100kmの速度域で、手を離すと小刻みにハンドルがぶれだした。
修理プラン
自転車屋さんに聴いてみました
@、歪んだリアホイール交換
後から自転車屋さんに聞いたのですが、私の帰宅姿を後方から見ていて、リアホイールのぶれを確認したそうです。
A、Fホイールリムの上下ブレを確認、SMでは2mm位まで。
ぶれの見方は、この様にします。 計測の結果左右0.5mm、上下は計測不能な最小値
B、フォークチューブ、ステムの変形の確認
ぶつぶつと、「インナーチューブ太いなー。 ステム歪んだかな〜。 ステムで衝撃を吸収するんだよな〜」
フォークが曲がるとすれば、アンダーブラケットで曲がるそうです。
バイク仲間からも話がありました。 転倒の場合、症状として、ハンドルが小刻みにブレるそうです。 この場合、ステム、フォークが逝ってるそうです。
C、ステムの増し締め →→ 緩むとぶれるそうです。
D、フロントタイヤ交換 →→ 偏磨耗するとぶれの原因になるそうです。
Fカウル交換
大変だったのは、ロービームのカプラを抜くことです。
スゲー狭い空間で、力が入らず、やっとこさ抜けました。(・_・;)
私は、車体から、カウルを下ろす前に、ロービームカプラを抜きましたが、カウルを車体から下ろした時に、誰かにカウルを持ってもらったら、楽そうです。
写真左:Fカウルを外すと裏側は、こんな感じです。 赤丸箇所で、ビス止めされています。
写真右:Fカウルの固定は、埋め込みのめねじと、こんな感じのクリップみたいな物にねじが切ってあります。
ホース固定金具
作業のついでに、油圧ホースの固定金具がざびざびなので、交換しました。 新しい金具は、クリアーで塗装しておきました。ピカピカでいい気分
下側が錆びてしまった、ホース固定金具です。走行距離も24千Km強となる、結構錆びています!
グリップ交換
ハンドルウエイトも削れたので交換です。 これだけではつまらないので、グリップも交換しました。
写真左:古いグリップの抜き方は、エアーをハンドルとグリップの間に吹き込み、風船の様に膨らませると、一発で抜けます!
写真右:グリップボンドが付いています。 これを落す方法が判らなくて、カッターの背で削り落としたのですが、若干、ハンドルに傷が付くので、即止め
結局、ウエスにシンナーを浸み込ませで拭取りました。
右側が拭取った後です。 綺麗に抜き取れます。 但し、右側のグリップはアクセルがプラスチックで出来ていますので、
そのままにしておくと、溶けます。 拭取り後、即、シリコンで養生してやりました。
他の剥がし方には、ドライヤーで熱しプラスチック製のスクレーパーで、削り落とす方法もあります。 この場合は、ちと時間がかかりますよ。
グリップの差込み方法
自転車屋さんから伝授した方法です。 水をグリップにかけて、差し込むだけです。 グリップボンドは使わなくても大丈夫だそうです。
でも、この場合は、相性の良い純正品同士に限定した方が良いかもしれませんね。
自分の場合、差し込む時も、エアーで風船を膨らませるようにして差し込みました。 3〜4回エアーをブシュッとやれば上手くできます!
Newグリップのタッチは流石に新品は、凄い。 手に吸い付く感じがします(*^_^*)
いつの間にか、ゴムも経年変化により硬くなっている感じです。
メインスタンド交換
転倒して、足をかけるパイプが曲がってしまい、プロアーム直前まで曲がっています。正常なら指1本入ります。
メインスタンド交換作業工程
メインスタンドを掛ける
→リアカウル外し→リアフェンダA外し→リアタンデムステップ外し→タイヤ外し
→マフラ外し→RサイドステップとヒートガードAssy外し→O2センサ外し→タイヤを仮付け
メインスタンドを外しサイドスタンドをかける。
→エンジン側Fエキパイジョイントナット外し→
Fエキパイマウントナット外し→Fエキパイ取外し→Rエキパイ取外し
ここまで来て、やっとメインスタンドを固定している10mmのボルト2本を外せます。
メインスタンドを外す為に左側から緩めましが、逆ねじかと思うほどの硬さ!! そこで、ヒートガンで熱すると、なんとか緩みました。
ボルトには、ゆるみ止め材が塗ってありました。 ゆるみ止めが塗ってあった場合、必ず、タップをかけ、雄ねじには、物凄くトルクがかかっているので、新品で組立てましょう。
次に、反対側のねじも一気に回したときです。 急に緩くなって!!そうなんです。ねじが切れたんです。
後で、パーツリストを見て判ったのですが、このねじは、逆ねじです!ボルトの頭に左矢印がありました。(泣)
自転車屋さんに頼みました。 自転車屋さんに聞いたら、外し方はこうでした。
1、車体から少し出ているなら、ボルトの頭を溶接してつける。
2、穴を開けて、最後に、タップをかける。
ねじは硬く、ねじの長さも気になって、溶接となった。 ところが、熱でアルミに変形を起こすかもというのです。
どうなるやら(-_-;) 後は、神様、自転車屋様です。
外したねじです。話によると、5ミリのねじを切って、正ねじを突っ込んで回したが、ねじが切れたそうです。
次に、8mmの穴を開け、溶接で頭をつけて、やっと外せたそうです。 プロも言っていたけど、ネジロック材付けすぎ(>_<)
ねじの中に穴が見えるでしょ。 芯がぶれていますね、プロでも、手作業の場合、こうなってしまうそうです。
強度的には、これくらいだったら、問題ないそうです。 ちなみに、5千円かかりました(>_<)
メインスタンドは、中古の1型用メインスタンドを流用。
筋交みたいな物が無く強度面で劣る感じですが、1型と2型の車両重量は10kgほどの差なので、気にしないことにしました(笑)。
ねじも治って、いよいよメインスタンドの交換です。 始めてみると、肝心の、スプリングが掛けずらい(-_-;)。
1時間ほどかかって、ひらめいたね!!
外し方
スプリングを掛ける。 左側ボルトを軽く捻じ込む、この時、右側のボルト穴に針金をつっこんでおいて、
外れないようにすること、これが肝です。 ねじの径の分、遊びが出来るので、スプリングを張っても左側のボルトを捻じ込めるのです(*^_^*)。
スプリングフックを使うと、スプリングを傷めずに引っ張れますよ。
ラジエータ修理
夏季は、ラジエータが2つもあって心強いVFR800ですが、転倒するとレジエータが逝く感じです。
ファンを回そうと動かしてみると、ぐづってファンが回りません。(・_・;)
冷却水を排水したら、ファンモーターカプラと、Lラジエータに付いている太いホース2本を外します。 ホースを外すには、
ホースリムーバーがあると楽チンです。
Lラジエータの裏側にファンがあります。 ファンを固定している3本のねじを外すと、ファンを固定している3本のステーの内、1本が曲がっていました。
ちゃちな取り付けで、ひょいとひとひねりで、曲がりを修正できました。
組立てる時は、ラジエータホースがへばり付かないように、Siグリスをホースのはめ口辺りに塗布しておきましょう。
念の為にファンが回るか確認します。
方法は、ファンモータースイッチのコネクタ(写真赤丸)にジャンパー線を繋いで、アースを取り、メインスイッチを入れます。
ファンが回ればOK。
さー、エキパイとマフリャーを取り付けです。
エキパイには銀色のパッキンが3個使われていますが、
新品の時にグリスを塗布しておくと、エキパイを抜いてもパッキンに傷が付かずに抜けて再利用できます。
歪んだホイールも交換です。 ホイールを交換したら、リアホイールもぶれを確認(2mm以上交換)しました。 ぶれ無し。
そして、試走、・・・、残念
ステアリングステム交換
ステム交換はこんな感じでやっています。
Fカウル外し→ハンドル外して吊っておく→左右ブレーキホース外し→ステムに固定されているブレーキホース外し→
フェンダー外し→ブレーキパッド→ブレーキキャリパー→アクスルシャフト外し→タイヤ外し→
トップブリッジ割締めボルトを緩める→アンダーブラケットボルト割締めボルトを緩める→
フォーク外し(アンダーブラケットボルトを緩めるとき、フォークを手で押さえる)→
メインスイッチ4Pカプラ(ナチュラル)、イモビライザ4Pカプラ(ナチュラル)外し→
ステムナット外し→ロックナット・ロックワッシャー外し→
ステアリングアジャストナット外し→ダストシール→アッパベアリング・ステム外し→ロアベアリング外し→
アウターレース取付→ロアベアリング付きのステム取付→アッパーベアリング・インナーベアリング取付・ダストシール
→ベアリングアジャストナット取付→ロックワッシャー→ロックナット取付→ステムナット取付
フロントアクスル点検
フライス加工したアルミ板があったので、隙間と転がり具合を確認しましが、判りませんでした。
限度は、0.2mm(片側0.1mm)なので、ダイヤルゲージがほし〜い
さー、ここからは写真が沢山あるよ〜
写真右:メインスイッチ4Pカプラ(ナチュラル)、イモビライザ4Pカプラ(ナチュラル)外します。これを外さないと、
トップブリッジが外れません!
写真右:ステムナットを外すには30mmのどでかいのが必要。 これを外すとトップブリッジが外れます。
ネプロスが輝いてる〜。 ネプロスは公差0なので、ステムに使われている化粧ねじを傷めずに本締めが出来ます(^^♪
写真左:ロックワッシャーの次に、アジャストナットを外します。 ここで、SST登場! これなら、ナットに傷をつけずに外せますし、
組立てる時も、適切なトルク管理が出来ます。 素人は、SSTにしましょう(^^♪
トルクを掛けると・・・、な〜んか緩い!!
写真中:アンダーベアリングです。 打痕がはっきりと確認できました。 原因はともかく、交換して正解でした(^^♪
写真右:アウターレースを外すのを如何しようかと、見ると、掛かりは2箇所、写真を見ると判りますよね。
この部分に貫通ドライバーを当てて叩き出してやります。
走行距離23,990kmの状態です。
ボールの汚れ具合を見ると、思わず、清掃したくなるほどでした。
白色化しているのが気になります。
SMでは、マルチパーパスグリスとなっていることから、本来、クリーム色のはずです。 恐らく、水の浸入で、白色化している?
アウターレース取付
写真左:丁度良いアダプターが無かったので、新しいアウターレースに古いアウターレース載せて叩き込みます。
ロアアウターレースも同様に叩き込もうとしたのですが、場所が狭くて体が正対出来ない為、上手く入っていきません。
写真中:上記のように上手く行かないので、アンダー側のアウターレースは、ねじで締めこむことにしました。
写真右:古いアウターレースは、車体側にはまっていますので、貫通ドライバーの刃先で叩き出します。
あとは、ステムを下側から差し込んで、アッパーベアリングを入れたら、ステムソケットで、アジャスタナットを25Nm締め付けます。
締め付けたら、ステアリングを左右一杯まで交互に5回まわしてなじませまて、ガタを確認。
ここで、いったん緩ませて、再度、規定トルクで締め付けて、ガタを確認します。
次に、ロックワッシャーを取付、この時、つめは対角を同方向へ曲げます。
最後のロックナットは、手締めで締めこんで、アジャストナットを保持し、ロックナットを4分の1回転の範囲で締めこんで完了。
この時、印をつけておくと4分の1回転の範囲を確認できます。
ステムとアクスルシャフトを交換して、またまた、試走。結果は、・・・、駄目 勘弁してくれって感じ(・_・;)
しかし、誤差0.2mmというと、片側0.1mm! ダイヤルゲージさえ持っていれば、適切な判断が出来たのに・・・、購入している暇も金も無い(-_-;)
次は、Fタイヤかインナーチューブにするか迷いました、というのも、Fタイヤは、スリップサインまで残圧1mm弱なので、いずれ近いうちに交換です。
また、ホンダ純正品の値上がり情報も耳にしていました。 で、せこい私は、インナーチューブも同時購入しました。(笑)
またまた、試走。 結果は、・・・・。
とうとうやりました。
事故を起こしてから、2ヶ月強 、転倒したバイクを直しました。
医者と同じ気分です。
事故の状況、当たった箇所の観察、転倒の仕方から色々想像して、無駄もあったけど、直しました。
ハンドルのぶれの原因は、なんとタイヤでした。
転倒をしたことから、フロント全損だろうと、諦め、落ち込んだ中、目視による点検と想像からやっと判明しました。
とっても嬉しかったです。
某タイヤは2度と買いません。
写真のタイヤは、ブリジストンBattlax BT-016 いい感じ(^^♪
その他
ギアチェンジペダル修正
曲がってしまいましたので、修正しました。 これだけではつまらないので、醜い金型合わせ面の面取りをしてやりました。
面取りする時は、耐水ペーパーに平鑢を当てて削ると、平滑になります。
研磨は、#320から#600、最終研磨はルーターのフェルトに青棒とCRCを混ぜて研磨します。
CRCを混ぜるとピカピカ状態が長続きしますよ!(*^_^*)
CRCが肝です。
テールカウル自家塗装
得意の自家塗装です。
もう、すっかりこつを覚えて、綺麗なできです。
ウレタン塗装を終えたところで、これを磨くと、ピカピカになります。
こつは、あまり追求しないことでしょうね。 例えば、カラースプレーの吹き付けで、あばたが出来たとします。
これを、完全に耐水ペーパーで落すと、プラフサが顔をだす確立が高いくなります。 なので、寸前で止めることです。
それと、吹き付けの技術ですが、一度で厚塗りを決めようとすると、大変難しい。
方法としては、間を空けずに、2回3回に分けて吹き付けて、表面が水面のようになったら、そこでやめること。
結果は、一度で厚塗りした状態になります。
3、作業を終えて
ハンドルを放した時に起こる小刻みなぶれの起こる理屈が、直している間に自分なりに考え付きました。
当たっているかどうかは判りません。
ハンドルを放したときは、アクセルオフですから、当然、前輪に車重がかかりるので、
ステムのぶれ等の歪みがハンドルに現れやすくなるからと思います。 そして、ある程度のスピードで走っているから
真直ぐに走ろうとします。 結果、ハンドルが戻る。 この繰り返しで、ハンドルがぶれるのではないでしょうか?
また、ステム等の歪みが大きい時は、一方向へハンドルが取られるのではないかと思います。
フレームスライダー
体とバイクの損傷を軽減してくれたフレームスライダーです。
削れ方を見ると、バイクの転倒〜滑走していることから、バイクの転倒によりボルトが曲がり、一方向にスライダーが曲がったように思える。
良く見ると、転倒による力が加わり、スライダーのカラーが少し抜けています。
ボルト(鉄製)の曲がり箇所を探ると、スライダーのアルミカラーの端から、曲がっていました。
このアルミカラーがあるお陰でフレーム側の変形を防いでいるようです。
つけていて本当に良かった。
そして、生まれ変わったマイVFR 800 その多くを判った感じです。 今回の経験を通じて、長く付き合える相棒になった気持ちです。
。
2009年7月1日追記
スライダーを取り出しました。
外から見たとおり、カラーのあった箇所から曲がっていました。
つまり、車体と人間を守り、且つ、車体との取付部を傷めていない。 レディバードのスライダーの設計は凄い!!
補足
純正のボルトは、SUSですが、管理人は、鉄製にしています。
2009年7月11日追記
アクスルシャフトの曲がりを点検しました。
計測の途中、針が0.01mmぶれましたが、多分、シャフトに付いた凹です。
結果、シャフトの曲がりはありませんでした。 これで、一つ、心の整理が出来ました。
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