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VFR800 MCタイヤの偏摩耗
2010年 1月16日 走行距離 29,312km
リアタイヤの片減りは、事故が原因か判らないけど、悩んでいても事態が変わるわけでもないと思い、慌て者の自分はスイングアームを交換しようと
しましたが、同じVFR800乗りの方からお話が有り、一度考え直そうと、色々と調べてみました。
VFR800のオーナーさんにもリアタイヤの片減りを聞いてみました。 有るという人もいればさほど無いという人もおりました。
構成
1、スイングアーム到着
2、溝の計測
3、現状確認(1)と私的判断(1)
@ 走行時の状況
A キャンバー角・トー角の確認
B リアホイールベアリング・ピボットベアリングの点検
C あるVFR800とのタイヤの比較
D 私の走行癖
E 私的判断 (1)
F 遊び心
4、現状確認(2)
ばらして、直接的に点検・計測してみました。
私的判断(2)
5、作業を終えて
2010.8.8追記 ・2012年3月30日追記
MCタイヤ偏摩耗の結論
1、2009年12月30日 スイングアーム到着
スイングアームに付いているチェーンスライダーのインジケーターです。
赤矢印の先に、インジケータの矢印が見えますね。
限界点がここなのですが、ここまでへるのかな〜? 現状の車両の方を見ても殆ど減っていません(疑問)
とりあえず、記録だ〜
2、溝の計測
2010.1.1 走行距離28,935km
このタイヤは、この時点で、新品時の走行距離28,638km(2009.12.23)なので約297km走っています。
測定個所は、赤矢印で測定結果以下のとおり。
左側:深さ 5.4mm 右側:深さ 5.3mm
3、現状確認(1)と私的判断(1)
@ 走行時の状況
古いタイヤで走った距離は、事故直後(走行距離23,990km(2009.5.2))から、タイヤ交換時(走行距離28,638km(2009.12.23))の間、
4,648kmになります。
手放で走らせると、ハンドルのブレわ無く、少しずつ、車体が左側に進む程度で、体でバランスをとると、修正できる程度です。
このことは、路面が左側に傾斜しているので、バイクは、進行方向に進みながら傾斜している左側に進むので、私のVFR800は正常。
時速130kmで走っても、安定しています。
A キャンバー角・トー角の確認
前輪と後輪が真直ぐになっているか確認しようとして、顔を地面に擦りつけるようにしても前・後のタイヤのラインは見えません。
仕方がなく、後輪の後ろ側から、車両から少し離れて、後輪をみると、真直ぐに見えます。
後輪をストロークさせて、沈み込みを第3者に見てもらうと、地面に対して垂直にストロークしていると返事をもらった。
有る親切なVFR800のオーナーさんに、走行中の挙動を後方より見てもらったが、タイヤが傾いているようなことは無かったということでした。
チェーンのラインも見たが、真直ぐに見える。
元自動車修理工場に勤めていた知人に聞いてみると
アライメントがくるっていても、目視では判らない場合がある、また、少しくらいくるっていても走れてしまうというのです。
目視以外の方法で確認しないと駄目です。 そこで、閃いた!
キャンバー角測定結果
下げ振りです。 我が家で一番水平な鉄製の敷居(水平で確認)でメインスタンドを掛けて測ってみたところ、2mm。
A-Bが2mmとなりキャンバーが無いことが判った。この時点で、 C-Dは、計測をやめました。
* 鉄製の敷居といえども、水平器を当てると、多少ですが水平ではありません。
また、メインスタンドと車両との取り付けや部品の精度もございますので、2mmという数値は、問題なしと判断できるものと推察いたします。
トー角の確認結果(ドライブギアより)
ドリブンギアの状態でトー角やキャンバー角に異常が無いか確認しました
写真左:走行距離11,040kmで交換した古いドリブンギアです。 見ると、表側が擦れて光っています。
写真中:ドライブギアも表側が擦れているので、これは、チェーンの張り過ぎが原因かもしれません。
貼り過ぎると、ミッションから「カタカタ」と断続音が出たりもします。以前経験しました。
写真右:現在使用中(走行距離28,935Km、交換してから、17,895km走行)の状態です。
歯面に付いている擦れ具合も垂直で、且つ、上の写真の様に偏った当たりもありません。 ギアの側面にも、両面均等に薄らと擦れた跡が有り、
変に力が加わった形跡はありません。
ということは、前後のギアの面は並行で、その上をチェーンが走っているということだろう。
つまり、タイヤにはトー角が無いこととなる。
バイクメンテナンス講座
解説内容
たいした距離は走っていないが、このスプロケットは片面の歯先だけが不自然に輝いている。前後スプロケット間をチェーンがまっすぐ可動していなかった証拠。
調整が左右不均等だった可能性大。
2010.1.11 走行距離29299km トー角の確認(チェーンラインからホイールのオフセット確認)
写真左:チェーンラインです。 撮影方向の関係で、糸が手前側に来るとチェーンラインからずれて見えますが、実際は、真直ぐです。
初めて、チェーンラインを見た時は、感激しました。 本当に真直ぐなのです。 日本の工業技術の素晴らしさ!!
写真中:チェーンラインから、ホイール前端のオフセット計測:33.5mm。
写真右:チェーンラインから、ホイール後端のオフセット計測:33.5mm。
ホイールのブレ
写真左:最下点は、0.1mm
写真中:最下点から90度後方側は、ロウテク!、いえいえ、実際は、ダイヤルゲージで測ったら0.2mm、十分クリアしています。
ホイールの歪み無。
写真右:大修理の時に、エキパイを組みつようとしたら、エキパイとエンジンが合わなくて、強引に組み立てたのですが、
ここに来て、1番(写真右:赤矢印の様にパッキンが見える!)排気ガス漏れを起こすようになりました。
写真左側は正常で、外見から、パッキンは見えません。
エキパイのキャタライザーには、事故により3所に凹んだ跡が出来たので、そのせいだと思います。
事故の時は、リアホイールも曲げてしまい交換しています。 こんなことからも、スイングアームにも大きな力がかかっていたのかもしれません。
ちなみに、近所の自転車屋さんによると、再度、新品のパッキンを使って組み立てると、ガス漏れを起こさなくなることもあるそうです。
B リアホイールベアリング・ピボットベアリングの点検
リアホイールを左右にゆすってみましたが、ガタ無、よって、リアホイールは正常
スイングアームを左右・上下にゆすってみましたが、ガタ無 。でも、この時点で、結論は早急、バラして点検だ
C あるVFR800とのタイヤの比較
写真左:無いという人の写真です。 減り具合をみると、タイヤの左右にさほど差を感じません。
写真右:私のタイヤです。 タイヤというものは、一般に道路の横断勾配(若い頃、道路の設計に携わっていて、
設計値では1.5%でした。)によって右側が減ります。
とはいうもの、自分のタイヤは、著しく片減りしているように見える(^^ゞ
D 私の走行癖
走り始めの途中、やはりタイヤの片減り原因について、考えていたせいか、走行の癖にふと気が付いた。
左カーブの場合、どうしても、カーブの先が沿道の障害物の為に見えないので、アクセルを開けず、トラクションを掛けない癖が付いていた!
こんなことからも、左側への負担が少なくなって右側が減る様になったのかもしれない。
なにせ、17千kmもそんな癖で走ったので、右側が益々減ったのかもしれない。
E 私的判断 (1)
写真左:いろんな事を想像しながらいた時です。 ふと目にとまった写真がこれです。 納車時(走行距離約9.9千km)の記念写真。
このタイヤは、その後、記憶では、約12千kmに摩耗の為交換したので、
写真を撮った頃は、そろそろ末期状態の頃と思いますが、片減りをしていないように見えます。
写真右:写真は、スイングアームの断面になります。
断面形状から、縦より横方向からの力に弱い断面形状になっています。
事故によって、ホイールに大きな力が加わったことから、その大きな力は、スイングアームに伝わっていることになる。
この断面をみると、弱い横方向へ曲がったのかな〜、と想像したりもする。
2010.1.10 ホ?ダ「お客様窓口」からの回答
タイヤの右側片減りを話た上で、アライメントが有るか無いかについて、ホンダのお問い合わせに、聞いたところ
1、VFR800はキャンバー・トー角は無い。
2、片減りの原因は、ハブのベアリングとピボットのベアリングのガタが考えられる。
3、道路の横断勾配
どうやら、わたしのVFR800は、キャンバー角については角度が付いていないので、正常の様です。
この点だけでも一安心しました。
HONDA VFR800のクランクケースマウントのプロアーム メーカー解説
VFRの足廻りには、軽量なアルミキャスト製のプロアームを採用し、4本のボルトのみでリアホイール脱着を可能とするなどメンテナンス性にも配慮しています。
また、ピボットレスフレームを採用し、プロアームをエンジン後部に直接マウントすることで横方向の剛性を向上させ、
フレームから分離させることでリアホイールからの外乱によるハンドリングへの影響を少なくしています。
*この図面をみると、チェーンのラインは、ほぼ赤色のラインと思われるます。 そして、チェーンラインは、車両の中心と並行です。
車軸を支えているベアリングは、ダブルのラジアルボールベアリングと針状ベアリングになります。
この図面をみると判りやすいですね。ホンダが言った通り、ベアリングにガタがくるとガタの分、車軸がぶれて片減りを起こすのでしょうね〜
2010.1.11〜12 走行距離29299km DUNR○Pお客様相談室からの回答
片摩耗について質問をしたところ、以下のとおり回答が有りました。
11日 DUNR○P:「○○様のご指摘の通り、過重を大きく受ける側の摩耗が促進されます。
要因としては、車体の重量の偏り(基本的に有り得ませんが、車体の歪み
やサスの左右の特性の変化等で起こり得ます。)また、ブレーキの片効き
、一定方向のみコーナリングが多い(早い)等の要因が考えられます。
」
12日 DUNR○P「片側摩耗は、トレッド(接地面)が均一な状態で接地していない為に起きる摩耗で
あり、タイヤによって起きる起きないと云う問題では無いと考えます。」
* つまり、タイヤにかかる力が左右均等じゃないので片摩耗が起こるという内容でした。
2010.1.12 走行距離29299kmこの時点での判断
前段の測定のとおり、私のVFR800キャンバー角・トー角、ともに無いことが、判った。
ホンダからの回答でVFR800はキャンバー角・トー角は無い、つまり我がVFR800は正常。
この時点では、もしかしたら、片減りの原因は、私の走り癖にあると思った。
というのも、最初に交換した時は、片摩耗していませんでしたが、そのほとんどを前オーナーさんが走っています。
次のタイヤ(今回の片摩耗タイヤ)は、全て自分が乗っているからです。
私の場合、ほとんどが、一般道を走っています。
一般道は、直線とカーブが繰り返されるわけです。
私の様に、左カーブでトラクションを掛けないタイプは、当然、左側にかかる荷重が少ないので、タイヤの負担も少ないはずです。
メーカからも、左右の接地が均一でない為、片摩耗するといわれましたが、私の走り癖と重なるな〜と思いました。
F 遊び心
今回の遊び心は、得意の塗装で、VFR800のオーナーさんには、気になるキャタラーザーのカバーに発生する赤さび?
新品のFエキパイを交換することにしましたが、ついでに、キャタラーザーのカバーを耐熱塗装をしてやりました。
このキャタラーザーカバですが、どうも、SUSのように感じました。 下地にサフェーサーが必要あるか耐熱塗装のLAVENに確認したところ、
不要とのことでしたので、足付け(#600)後、耐熱塗装をしただけです。
写真左:使用したLAVENの耐熱シルバーです。 耐熱温度600度!
写真中:塗装後です。4回吹き付けて有ります。 耐熱塗装なので、光沢は求めませんでした。
注意書きには、塗装後べたつくっことが有るので、150度くらいで加熱せよとありましたので、手持ちのヒートガンで、加熱しておきました。
このままの光沢を放ってくれたらいいのですが、、。
写真右::古いキャタライザーカバーです。 ところどころ赤さびが出て、雰囲気が悪い(;一_一)
4、現状確認(2)
2010.1.15 走行距離 29,312km 進行表の作成が終わり、いよいよ着手しました。
ばらしていったら、O2センサを初めて見ました。 すげー真黒です。 ガスケットリムーバーで綺麗にしてやりました。
写真左:スイングアームも直接、キャンバーを計測しましたが、スイングアームを上側に移動した時と、下側に移動した時の差は、2mmでしたので、問題無し、上下に動かしてもスムース。
写真中:ピボットボルトを計測したら、、、。
20/100mm偏芯していました。新品は 5/100mmに収まっていましたので、一応、交換しておきました。
写真右:ピボットカラーも擦れだけでした。
写真左:Rスイングアームにあるカラーは損傷、変形が有ったら交換となっていますが、我がVFR800は、異常なし
他にも、ドリブンフランジのボールベアリングのガタつきもありませんでした。
写真右:リアアクスルは、針状ベアリングと擦れ合っているので、擦れた跡が有りますが、段付きや傷もありません。
やっぱ、タイヤの中心に近いディスク側が、一番擦れています。
4、私的判断(2)
タイヤの減りは、真直ぐ走っている時はセンターが減って、サイドが減るのは、コーナーを走っている時になるわけです。
では、なぜ左右の減り度合いに差が出るのかとなるわけですが、要因は、走り癖、車両、エアー圧不良により受ける道路の横断勾配の影響になろうかと思います。
考えてみたら、メーカーさんの言うように、減る原因は力がかかるから減るわけで、その力の掛かり方が、左右で均等じゃないから片摩耗を起こすわけです。
で、私の場合、減る要因別に状況を整理すると
車両:スイングピボットボルトが20/100mmほど偏芯していました。 残念ながらSMには、点検について説明が有りません。 偏芯をしていても、問題無いような気がしますが、定かではありません。
走り癖:一般道の走行がほとんどを占める自分の場合、走り癖が大きいはずです。
エアー圧不良により受ける道路の横断勾配の影響:私の場合、エアー圧は気にしていたので、測る度毎に、大きくエアー不足といった記憶がありません。
よって、偏摩耗の原因ではないと思う。
結果としては、偏摩耗の原因は、癖と思う。 まー、今後どうなるか?
5、作業を終えて
今回は、「タイヤの片減り」から端を発した訳ですが、安易に、スイングアームを交換しなくて良かったな〜と思いました。
私は、慌て者で、優柔不断なところが有ります。 今回も、性格のせいで、スイングアームを買ってしまったわけですが、
同じVFR800乗りの良き知人も増えまし、自分の走り癖、VFR800の足まわりついても、理解を深められました。
これからは、走り癖を直したいと思いますが、はてさて、どうなるものやら。
そうそう、購入したスイングアームは、4万km走行時にでもお祝いに我がVFR800に付けてやります(^◇^)。
MCタイヤ偏摩耗の結論
2010年8月8日の今日現在、34500km
偏摩耗に気が付いて、VFR800 MCタイヤの偏摩耗のこの記事を記載したのが、2010年 1月16日 29300km
タイヤ交換時が、2009年12月23日 28600km
タイヤの摩耗状況を計測しました。
左側の深さ 4.5mm、右側の深さ 4.4mm、差0.1mm
偏摩耗に気が付いてから、左右の走行癖を無くすよう走ってきました。 その原因だけで、あれほどの片摩耗を起こすのだろうかという疑問が残されました。
走行癖の他にもタイヤの特性も一因しているのだろうと思料します。
2012年3月30日の今日現在、48000km
とうとう、タイヤのスリップラインまで後ちょい、交換時期となりました。新品時が2009年12月23日 28600kmでしたから、19400km走って交換となりました。
左右を計測すると、左側の深さ 4.15mm、右側側の深さ 4.0mm、差 0.15 mm。 著しい偏摩耗はありません。
偏摩耗の原因は、タイヤのバランスを取っていなかった事と、タイヤの特性のどちらかだろうと思います。
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